野外の「マダニ」で広がる、人の新しい感染症・続報(2013年3月17日現在)
続報です。
【 先ず復習 】
重症熱性血小板減少症候群 ( SFTS ) とは、ヒトがマダニに咬みつかれて感染する新しいウイルス感染症で、発熱、嘔吐 ・ 下痢などの症状がみられます。
また、血液検査では血小板減少症や白血球減少、肝酵素値の上昇などがみられ、致死率は高く、およそ12%とされています。
屋外で犬猫にマダニが寄生し、屋内に持ち込み、そこからヒトが咬まれる可能性が懸念されています。
2013年3月7日にupした記はコチラ↓
医療トピック版 〈 野外の 「 マダニ 」 で広がる、人の新しい感染症 〉
HPお知らせ版 〈 野外の 「 マダニ 」 で広がる、人の新しい感染症 〉
【 ウイルスの伝播経路?】
マダニが媒介する感染症であり、中国においてはフタトゲチマダニが主な媒介者とされていますが、オウシマダニからもSFTSウイルスが検出されていることから、他のマダニも媒介者となる可能性があります。
一方、蚊による媒介については否定されています。
【 SFTSの発生地域 】
国内においては、広島 ・ 山口 ・ 愛媛 ・ 長崎 ・ 宮崎 ・ 佐賀 ・ 高知、でSFTSウイルス症例が確認されています。
前述の地方に行く時には、マダニ予防をしておいた方が無難?
【 海外でのSFTSの発生地域 】
中国 ( 安徽省、河南省、湖北省、浙江省、江蘇省、遼寧省、山東省 ) また、アメリカのミズーリ州においても、SFTSウイルス近縁のウイルスによる、SFTS様の症例が報告されています。
【 動物でもSFTSが発症するのか?】
国内外において、動物のSFTSウイルス感染による発症の報告はありません。
したがって、現時点ではヒトのみの病気であると考えられています。
【 ヒト以外の動物にも感染するのか?】
中国における血清疫学的調査では、犬および山羊 ・ 羊 ・ 牛 ・ 豚 ・ 鶏より抗SFTS抗体が高率に検出されています。
また、犬 ・ 猫 ・ 山羊 ・ 牛に寄生するマダニ、およびこれらの動物からもSFTSウイルス遺伝子が検出されていますが、感染源となる動物は特定されていません。
日本国内における抗体 ・ 遺伝子調査の報告はなく、感染状況は不明です。
★!★ まとめ ★!★
現時点では、動物がヒトと同様にSFTS症状を示すといったことや、SFTSウイルスが動物を介しヒトに感染するといったことは確認されておらず、いたずらに怖がる必要性はないと考えられます。
ですが、念のためSFTSウイルスの感染を防ぐためにも、またバベシア症をはじめとするマダニ媒介性感染症の予防のためにも犬猫へのマダニ寄生予防は重要と考えます。
そのためには、マダニ駆除剤を定期的に投与することが最も効果的と考えられます。
マダニは、春から晩秋にかけて活動しています。
案外知られていないようですが、マダニの活動期間は、ノミの活動期間より少し長いです。
↓厚生労働省のホームページ
重症熱性血小板減少症候群に関するQ&A・他
↓NIID国立感染症研究所のホームページ
重症熱性血小板減少症候群・SFTSウイルスの特徴
↓バイエル薬品株式会社のホームページ
マダニを知ろう/動画も見られます
[ 補足 ]
感染 ・ 発症 ( 発病 ) ・ 抗体の簡単な解説
感染 ( ウイルスが体に入る、結果として後に抗体が検出される ) して症状がでると発病。
抗体が元々あれば、つまり抗体価が高ければ ( 抗体が沢山あれば )、発症 ( 発病 ) しない。
抗体がある状態とは、以前にそのウイルスに感染した事がある、もしくは、そのワクチンを接種している、ということです。
ワクチンとは、簡単に言うと発症しないウイルスです。
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