猫の乳腺腫瘍
猫に発生する腫瘍の中で、乳腺腫瘍は3番目に多い腫瘍である
雌猫の全腫瘍中17%を占める
発生平均年齢 → 10 ~ 14歳
発生年齢幅 ―→ 9ヶ月齢から23歳まで
シャム猫・三毛猫は発生率が高いが、どの猫種でも乳腺腫瘍になりうる
ホルモンによる影響 ・ 避妊手術実施による発生率の低下あり
( 参考トピック : 【HPお知らせ版】 猫の発情、今昔の違い )記2016年2月
猫での避妊による乳がん発生率
避妊 : 未避妊 = 1 : 2
6ヶ月齢以前に避妊 : 未避妊 = 9 : 100 ( 91%減少 )
1歳齢以前に避妊 : 未避妊 = 14 : 100 ( 86%減少 )
出産回数は腫瘍発生に関係なし
プロゲスチン治療 ( ホルモン製剤 ) で、乳がんの発生が多くなる
猫の乳腺腫瘍の80%は、悪性、20%が良性 ( 90:10の報告あり )
腺がん・充実がん・肉腫の順に発生する ( 病理組織用語 )
多発性と孤立性は、ほぼ同じ割合
腫瘍部皮膚に潰瘍形成が多く、潰瘍形成があるものは、予後が悪い
手術で、組織学的マージンが完全であれば、生存期間が長い
大きさからみた生存期間中央値 ( 最短、最長を除いた平均値 )
2cm 以下 → 36ヶ月
2 ~ 3cm → 24ヶ月
3cm 以上 → 6ヶ月
ドン・ペット・クリニックでの治療方針
切除が不可能 ( 合併症の有無、腎不全等 ) ではない限り、大部分の乳腺腫瘤では、手術が基本です。
手術の目標は、最も単純な術式で、顕微鏡学的病変 ( 目視では無く、細胞レベル ) を含む全ての腫瘍を除去すること、根治目的 = 完全切除 ( 切除マージンがクリア ) です。
治療前に、根治 = 完全切除 ・ 生活の質の改善 ・ 苦痛の緩和 の、どこに重点をおくかの判断が、重要です。
猫の乳腺腫瘍は、残念ながら悪性傾向が高い事より、手術内容は、片側乳腺全摘出 + 所属リンパ節廓清を、推奨しています。
しかし、良性病変も、10 ~ 20%の確率で存在する ( 臨床的には、良性 ・ 悪性の鑑別は重要だが、極めて困難な場合が多い ) ことから、抗生物質等で、1~2週間は経過観察する場合もあります。
最も大切な事は、年齢などを考慮し、治療の目的を明確にして、病と闘う事と考えています。
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